ネガティブポエム


ユーキさんが"元・リーダー"だという話。
『signal』では全員のインタビューで話題となり、他のインタビューでも取り上げられている、有名な話だ。
しかし、もう何年も前の話で、そのことを聞かなければ知らない、わからない8号車もたくさんいるだろう。
何せ、今のリーダーはリョウガさん。
その事実が、驚くほどにシックリきているから。
染み込んでいるから。
私もその一人だ。
実際、もしユーキさんがリーダーだったら、たいへん失礼な話だが、私は見ていられないと思う。
ハラハラドキドキしながらライブBlu-rayを再生し、インタビューでは何か口を開く度に失敗しやしないかと心臓を飛び跳ねさせる、そんな8号車ライフを送っていたかもしれない。
どうか怒らないでほしい、小心者なのだ(まだ彼を十分に信頼できるほどの応援期間ではないからかもしれないとも思う)。


コーイチくんの脱退日が正式に発表された。
2018年、4月8日。
私が8号車になった、その自覚があるのは2017年、8月の終わりごろなので、彼の姿を1年も見れなかったということになる。
空白の3ヶ月を除けば、半年にも満たない。
プツンと糸が途切れた。
そんな感じがする。
3ヶ月も経ったのかぁって気持ちと、やっと地獄が終わるって気持ちと、もうこのまま焼き殺せって気持ちと。
私は一体誰推しなんだと笑いたくなるくらい、苦しい期間だった。
いや、今更コーイチさんのいない苦しみを語りたいのではない。
本題に入ろう。
FCツアーでのメンバーの発言は、Twitterを通して、待機組である私も目にする機会がたくさんあった。
どのレポでも、メンバーの切々たる思いが伝わってくる。
それに加えて、レポをのせてくれているハチコの思いも。
そんな文字の羅列を見ながら思った。

「あ、似てる」

きっとこの話は、これから何度も何度も、繰り返し繰り返し語られるのだろう。
磨耗し、擦りきれるほど消費されるだろう。
そう思ったからだ。
私のなかではほとんど確信めいた予感。
メンバーの口から、インタビュアーの口から、8号車の口から、人から人へ、口から口へ。
読み捨てられる雑誌のように……なんて、昔のアイドルじゃあるまいし。
その度に辟易しなければならないのだろうか。
疲れるなぁ。


私は別に、ユーキさんがリーダーであって欲しかったわけではない。
リョウガさんをリーダーとする、それ自体は、とてもバランスのとれた選択だと思う。
けれど、それを何度も何度も聞いてしまうと顔をしかめざるをえない。
胸が苦しくなってくる。
一体なぜだろう。
超特急のリーダー・ユーキという存在が、消えていくように感じるからだ。
短くともそこにあったものが消えてしまうのが、嫌で嫌でたまらない。
事実を話される度、事実が薄れていくと感じるなんて馬鹿馬鹿しいだろうか。
けれど、コーイチくんの話も、同じなんじゃないのか。
段々段々薄れていくんじゃないのか。
人が本当に死ぬときは、人に忘れられたときだという。
だから、コーイチさんが辞めたという事実を受け入れがたいがために、もう聞きたくないと耳をふさぐのは懸命な判断ではないのかもしれない。
だってそれは紛れもなく"超特急のコーイチ"の話なんだ。
彼の超特急のなかでの最後のエピソードなんだ。
でももう疲れた。
疲れたんだよ。
そうやって美談にされていくのをみるのはもう、疲れたんだよ。
それでも美談にしなきゃいけないのか。
そう考えると泣きたくなってくる。
けれど、もっと華やかで、きれいで、飾る必要もないラスト・エピソードを用意してほしかったなんて、わがままだ。
エゴだ。
できることなら誰か、世界中みんなの口を縫い付けてほしい。
誰も彼が辞めたということを話さないで。
もう2人の歌声だけ聞いていたい。